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安倍政権は過去3回に渡り廃案となっているいわゆる「共謀罪」規定を含む法案について「テロ等準備罪」と名称を変えて、今国会での成立を目指しています。この法案は、過去廃案になった法案の問題点について解消されておらず、むしろテロ対策が主眼だと訴えて実態は共謀罪の取締り強化をする危険性について国民の意識をそらすような法案の出し方は、国民を欺くものと言わざるをえません。
今回の法案は、現状の憲法が保障する思想・良心の自由、表現の自由、通信の秘密及びプライバシーを侵害し、社会を萎縮させ監視社会をもたらす危険な法律だと考えます。
特に懸念すべき問題点の第一は、疑わしいだけで処罰されることになりかねないことです。現行刑法では「既遂」が前提で処罰され、「未遂」については例外的にとどめているものが、本法案では「既遂」だけでなく「未遂」や「計画」時点における他人との合意だけで処罰することができるようにしていること。そして、処罰する対象の組織的犯罪集団の定義があやふやであり、処罰する人物や犯罪対象を大幅に広げていることから、恣意的、政治的な捜査が行われる可能性が高くなります。
懸念すべき第二の問題点は、監視社会の強化です。計画の段階で処罰することになれば警察の捜査手法は、会話、電話、メール等の情報を収集する必要があり、新たに通信傍受の範囲の拡大、会話傍受、盗聴まで認める議論等が始まり、警察が日常的に団体などの活動を監視する動きが始まります。
政府は、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(「国連越境組織犯罪防止条約」)締結の為に必要不可欠と説明していますが、必ずしも条約締結の前に共謀罪を処罰する法律が存在することが絶対条件になっておりませんし、我が国の現法体系でも充分にテロ対策に万全を期することが可能です。
以上の理由から、私は本国会に上程されるた「テロ等準備罪」法案に強く反対するものです。
<映画『スノーデンの暴露』は警告している>
去年の夏放映された「スノーデンの暴露」というドキュメンタリ映画をご覧になられたでしょうか?
元アメリカ国家安全局(NSA)の契約職員で、ロシアに亡命しているエドワード・スノーデンは、アメリカ政府の監視システムを告発した人物として有名です。
内部告発メディアのウィキリークスが発信した文書には衝撃的な事実が掲載されていました。アメリカ国家安全局(NSA)が、ドイツ首相、フランス大統領、日本の首相等の携帯電話を盗聴していたこと。日本でも首相始め、内閣府、経済産業省、財務省、日銀、それら職員の自宅、三菱商事の天然ガス部門、三井物産の石油部門など計35回線を盗聴していたことを表す内部文書が公開されました。
彼は日本のマスコミの取材に対して、以下のような発言をしています。それでも皆様は賛成しますか?
◎スノーデンはNSAの仕事を請け負うコンピュータ会社デルの社員として2009年に来日し、東京都福生市で2年間暮らしていました。勤務先は、近くの米空軍横田基地内にあるNSA本部。NSA本部は米国防長官が直轄する信号諜報と防諜の政府機関。世界中の情報通信産業と密接な協力関係を築いています。デルもその一つで、米国のスパイ活動はこうした下請け企業を隠れ蓑にしています。
◎NSAは日本の法律が政府による市民へのスパイ活動を認めていないことを理由に情報提供を拒み、逆に米国と秘密を共有できるように日本の法律の変更を政府に即していました。米側から繰り返された提案が「特定機密保護法案」の成立です。
◎これはNSAが外国政府に圧力をかける常套手段です。自分たちは既に諜報活動を実施していて、有用な情報が取れたが、法的な後ろ盾がなければ継続できない、と外国政府に告げます。これを合法化する法律ができれば、もっと機密性の高い情報も共有できると持ちかけられれば、相手国の諜報関係者も情報が欲しいと思うようになります。こうして国の秘密は増殖し、民主主義を腐敗させていくことになります。
◎日本で得た印象は、米政府は日本政府にこうした諜報情報のバーターやトレードに参加するよう圧力をかけていましたし、日本の諜報機関も参加したがっていましたが、慎重でした。それは法律の縛りがあったからです。その後、日本の監視法制が拡大していることを、私は本気で心配しています。
◎「政府が軍事情報だけでなくプライバシーにかかわる個人情報までも入手して監視社会をつくりだし、乱用している」と強く警告を発し、「特定秘密保護法と本法案は連動する」とまで発言をしている現実を我々はしっかりと認識する必要があります。
◎日本のNSA活動が米軍基地を拠点としているように、NSA監視システムは「対テロ戦争」下で世界に急速に張り巡らされました。新たな監視手段の導入が常に「安全のため」「対テロのため」と説明されているにもかかわらず、欧米で相次ぐ「テロ」は、既に強力な軍や警察の監視システムが人々の安全を守れないものであることを証明してしまっています。