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平成29年9月5日

県民の皆様へ

埼玉県議会

民進党・無所属の会

住民訴訟(政務活動費に関する件)の判決について(声明) 

 8月30日、さいたま地裁で判決が下された政務活動費の返還命令について会派としての見解をお示ししたいと思います。

 さいたま地裁の判決は、「民主党・無所属の会(現民進党・無所属の会)」と「刷新の会(現無所属県民会議)」に対して支給された政務活動費約907万円(内、民進分約56万円+内、県民分851万円)の返還を命じたものです。

 本裁判で我が会派に関して返還すべき対象となったのは、中川浩県議が使用した政務活動費の約56万円分です。中川浩県議は狭山市選出、当時「民主党・無所属の会」に所属しておりましたが、現在は脱会し「無所属改革の会」に所属している議員です。本裁判では現在「民進党・無所属の会」に所属する議員に対して政務活動費の返還が求められているものではありません。

 今回の訴訟で議論になっている政務活動費の支払は、詐欺的なものであるとか、実態のないものへの不正使用というものではなく、政務活動と政治活動が混在している場合における費用処理について議論が生じたものです。

 県政調査費は、会派に支給されており、我が会派は政務活動費の運用として、各県議に対して、選挙で選出された地区に支部を設けて政務活動を委託しています。今回、中川県議の狭山支部における政務活動費の支出の一部について、疑義が出ました。

 裁判所は、政務活動と政治活動が混在し、その構成比が明確でない等の場合には、政務活動費を50%までしか充当できないとする判断を示し、50%を超えるものについて返還を命ずる内容となっています。一つの活動が政務活動とその他の活動の両面を併せ持つ場合には、その活動に係る経費には政務活動費を部分的にしか充当することができず、これを「按分」といいます。

 具体的には、中川浩県議の事務所費、人件費、広報費に関するものです。中川議員は、これらについて、その活動実態に即して、政務活動費を按分していました。我が会派では、埼玉県議会政務活動費運用指針及び会派が制定した按分率指針の下で各議員が按分率を採用し、中川県議は活動の種別に応じ、80~90%の按分率を採用しました。これに対して裁判結果では、中川県議の費用の按分は事務所費(80%→50%)、人件費(80%→50%)、広報費(90%→50%)にすべきとの判断です。

 私たちが判決の内容について承服しかねるのは、裁判所が、地方政治や議員活動の実態に着目せずに、県議としての仕事に属する事項を政務活動でないと誤認し、また、政務活動とその他の活動が混在する場合には、特段の理由を示すことなく、ざっくりと、按分率を50%にすべきとした点です。中川県議の事務所、事務員、広報の三つは、いずれも、その大部分が政務活動に属するものであって、その実態に合致するよう、按分率を決めるべきであります。

 2012年に地方自治法が改正され、政務調査費は政務活動費に法律が改正され、いままでのように調査研究費用のみならず、一定程度の活動にも充当できることになりました。政務活動費の充当が不適当な経費と判断されるものには、政党活動、選挙活動、後援会活動、私的経費でありますが、本件については、裁判結果を受け入れることはできないと考えており、民進党・無所属の会は、現在、控訴を検討しています。

 実態を示すに足り得る証拠を提示する必要がありますが、その実態を十分に精査しないですべてを活動が混在する場合に、すべて、按分率50%にするのは如何なものかと思います。

 

 公金を使用して活動することについて議員は大きな責任を帯びていることを強く認識しておりますが、一方でこの政務活動費を利用し政策立案能力を上げ行政と渡り合い、県民に身近な県議会であるために双方向のコミュニケーションを心掛けるべく費用を有効活用することが重要であろうと思います。

 また、政務活動費を第二の報酬と揶揄されることがしばしばありますが、民進党・無所属の会として適正に執行し議会機能を向上させるために日夜努力している身にとって非常に遺憾であります。この判決を受けますとますます積極的に活動すると個人負担を余儀なくされることがあり、優秀な人材がこの職に就く魅力を感じられないような事態に陥ることを危惧するものであります。

 私たち民進党・無所属の会では、民主党・無所属の会時代から、県政調査費の全面公開に先駆けて、独自公開に踏み切り、第三者の監査や県政調査費の厳格な運用を行い、この間県政調査費の有効活用や使途の透明性について他会派をリードして来たことを強く自負をしております。

 全国的に政務活動費の不正利用が続出しているなかで、国民、県民の皆様に信頼に足り得る議会であることを実現しなければならないと考えています。そこで、県政調査費の利用について適正な利用と適正な額について再考すべく、我が会派では「議会改革プロジェクトチーム(座長:高木真理県議)」を設置しました。私たちは、更に議会改革について強力に推し進めて参ります。

以上